交響詩「鹿角を生きる」
詩:前原正治による〜合唱と吹奏楽のための〜

― (秋田県鹿角地区吹奏楽連盟50周年委嘱作品) ―

第一部:
-夏- 「囃子幻想」  [はやしげんそう]
4:35
毎年行われる「花輪ばやし」の旋律を様々な情景に溶け込ませ描いた叙情小曲。

第二部:
-秋から冬へ- 「湖の詩」  [みずうみのうた]
5:40
鹿角地区は、秋田県の最北地域。青森県とまたがる森に囲まれた「十和田湖」はとても神秘的な湖で、いにしえから変わらぬ景色を維持している。そんな十和田湖の晩秋の様子を描いた曲。

第三部:
-春- 「鹿角賛歌」  [かずのさんか]
10:50
前原正治氏の詩による三部合唱付きの曲。薄明るい朝霧の中、目覚動き出す人々を描き、中間部はアルバムをめくる様に北秋田の季節の移り変わりを描いた。後半は未来へとつなぐ鹿角を生きる人々を讃え希望に満ちた賛歌が歌われエンディングを向かえる構成。

演奏:鹿角地区高等学校選抜バンド/指揮:阿部慎太郎
合唱:鹿角地区吹奏楽連盟合同合唱/ソプラノ独唱:菅原敬子
作者コメント:

 秋田県鹿角地区に縁のある日本を代表する現代詩人、前原正治氏が、鹿角地区吹奏楽連盟より依頼を受け生まれた[鹿角を生きる〜鹿角賛歌〜 それを基に三部から成る交響詩を秋田県鹿角地区吹奏楽連盟50周年記念のために2009年夏から2010年2月に掛けて作曲いたしました。

初演当日(2010年6月6日[日] 初演:鹿角市記念スポーツセンター)は200名をこえる合唱団と吹奏楽団約45名にて演奏していただきました。
  
合唱隊の皆さんは鹿角地区各小中学校の吹奏楽部員の皆様とその顧問の先生方です。そして吹奏楽団は、秋田県立花輪高等学校、十和田高等学校の選抜メンバーが母体となったスペシャルメンバーで構成されました。

  鹿角地区はとても広い地域で、今回の演奏会のために頻繁に合同練習ができない問題点がありました。そこで
とある学校の先生が楽譜からから合唱部分の旋律だけをDTMで音源化、CDを作成、そのCDを各学校に配布して事前の練習に役立て、数回しかできなかった合同連取に備えていたのです。こうした地区の先生方のすばらしい熱意により初演が成功したと言っても過言ではありません。先生方の熱意に感謝が絶えません。

この鹿角地区は、昭和初期より尾去沢小学校、花輪高等学校などを代表とする有名校があるように、とても吹奏楽が盛んな地域で、秋田県吹奏楽の礎を築いた地区とも言えます。そんな地区の記念曲依頼と言うだけに、私も少々プレッシャーを感じながら作曲させて頂いたことを記憶しております。また、「合唱付きで」というご要望であったため、かなりの時間を当てたことを今も覚えています。

2012年12月 阿部勇一 



                                            


 

   
【作詩者紹介】 前原正治

 1941年6月10日、宮城県塩釜市に生まれる。1957年宮城県仙台第一高等学校に入学。1960年、早稲田大学第一文学部に入学。1964年、早稲田大学第一文学部卒業。1968年、詩作集『小さな世界』(私家版)の五篇の詩群により第九回晩翠賞受賞。1970年、同人誌「仙台文学」(工藤幸一主宰)に晩翠賞委員の石井昌光の推挙で同人になり、17号より作品発表。1981年、詩誌「撃竹」を冨長覚梁・北畑光男・成田敦・佐藤正子・斎藤岳城と創刊。1985年、晩翠賞委員になる。詩篇「或る里の秋」で第二十二回宮城県芸術祭文芸賞(知事賞)受賞。1989年、月刊誌「詩と思想」の編集参与になる。日本詩人クラブに入会。1990年、詩篇「浮遊の中で」により第二十七回宮城県芸術祭文芸賞(知事賞)受賞。1995年、第二十八回日本詩人クラブ賞選考委員。1996年、尾花仙朔と共に土井晩翠顕彰会委員に推される。2000年、詩集『黄泉の蝶』と長年の詩作の実績により平成11年度宮城県芸術選奨受賞、県図書館で作品展。2002年、第十二回日本詩人クラブ新人賞選考委員。4月、仙台文学館運営協議会委員になり、現在に至る。


(本データは「前原正治詩集 新・日本現代詩文庫」書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。)


 
     
   
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